墨のアーティストでありデザイナーでもある甲斐玲子さんの個展「幽」を見に行ってきました。
秋晴れの南禅寺。奥のもみじがほんの少しだけ染まりはじめていました。
かわいい車止めを横目でみつつ、向かった先は野村美術館。
甲斐さんの書はどの作品も素敵だったのですが、個人的に印象的だったのは「幽Ⅰ」という作品です。
うす墨で描かれている6枚の書が屏風のような形態に仕立てられている作品です。見えない手で心をぐいっとつかまれたみたいに、見た瞬間から目が離せなくなってしまいました。ぐっと固まっている集中力と外へ向けられているエネルギーというかパワーで頭の中がゴンゴン鳴りました。
書は一晩で一気に制作されたそうです。そしてそこから今度はデザイナー的な感性で一枚一枚トリミングして配置を考えたとおっしゃっていました。書のアート的な要素をデザイナーというもう1つの冷静な目でみて再構成することで多角的な作品が生まれたなんて。甲斐さん、素敵すぎます。
私は真ん中の吹き出しているところが地核みたいにみえるんですが、見る人によっていろいろなものに見えるんですよと甲斐さんはおっしゃっていました。
皆さんにはどんな風に見えますか?
お顔が暗くなってしまいましたが、一番右の方が甲斐さんです。